AI(artificial intelligence) いわゆる人工知能についての2つのニュースを耳にして、その雑感を記したい。
一つめのニュースは、SONYが脳科学の最新成果もつぎ込んだ次世代ロボットの研究所を6月までに設立するというもの。「5年後には人と見分けがつかないほど自然なコミュニケーションができるロボットを実現させたい。」とのことである。
素晴らしいことだし、力強いお言葉だが、なんで今頃? もうとっくにそのような研究はやってるんじゃないの? とも正直思った。脳科学というところが今までの研究と違うのかな? アメリカでは、人工知能に関する成果を商業的な利用にまで目指して進めている企業はとっくにあるのではないか?(業績が芳しくないとの話しも聞くけれど・・・) ぜひ、日本も頑張って欲しいものだ、ゴーゴーSONYである。
二つめのニュースは、米国防総省が開発中の陸戦用無人機のアイデアを募る目的で開催したレース(カリフォルニア、ネバダ州にまたがるモハベ砂漠の約300―350キロを搭載するコンピューターの自律制御のみで砂漠を横断するロボットカーで10時間以内に走り切る耐久レース)のニュースである。レースの優勝賞金100万ドルをめぐって、大学や企業が作ったロボットカー15台の熱い戦いが展開されたとのことである。この戦いでは、全米有数のロボット研究機関カーネギーメロン大学のチームが、軍用4輪車を無人機に改造して参戦し、圧倒的優位に立っていたそうだ。しかし、レースの結果は、出走した15台すべてが故障などのため完走できず最長でも約11キロしか進めずに終了したという。
つまり『ナイトライダー』や『バットマン・カー』のような車を作るのは、いかに難しいかということである。
このレースに参加しているカーネギーメロン大学のロボット工学研究所のハンス・モラベック氏の『When will computer hardware match the human brain?』という1998年のレポートを、読んだことがあるが、実に興味深い内容だった。
「現在(レポート時点)のAIは、まだ爬虫類程度だが、今後もコンピュータやハードウェアは加速度的に進化し続け、2020年には人間を超えた知能(AI)が出来るのではないか。」と論じられている。
以下、続く・・・
いづれは出来るであろうAIだが、もし人間の知性を超えたものが出来上がったとしたら、核弾頭より強力な影響力を及ぼすだろうと、想像に難くない。ことチェスの世界では、ゲームの上でのことだが、人間のチャンピオンを打ち負かすほどの知性(と言って良いと思う)が出来上がりつつはあるのは事実である。
今、研究されている高度なAIは、スーパーコンピュータを何台も繋いで出来る巨大なものである・・・しかし、これでは、車やロボットには積み込めない・・・小型化・集積化は、能力のUPとともに利用できるシーンに大きな影響を与えるものである。だが、コンピュータの小型化・集積化の歴史でいえば、研究室に作りつけのコンピュータ>ムーバブル(可動式)>ポータブル(100V電源)>モバイル(バッテリー駆動)>ポケッタブル>ウェアラブル>インテグレート(体内埋め込み型)という流れの中、今はポケッタブル前後の時代だと思うが、ここまで来るのに果たして何年かかっただろうか? だから、あまり心配はしていない。目指すのは、ロボットに搭載出来るくらいの小型なAIだ。
AIの進化・小型化はこれからの課題だが、その一方で、ヒューマイド・アンドロイドとしてのハードウェア・・・つまりロボットの体の方は、驚くほどの進歩がある。HONDAのアシモ君、SONYのキュリオ君といい凄い。階段を登る、踊る、走れる、起きあがれる、オーケストラを指揮する、トランペットを吹けるなどなど、枚挙に暇がない。しかし全て運動神経、自律神経レベルの制御であってその行動は、まだプログラミングされた動きの範囲は超えていないだろう。でも、今のところ、ダウンサイジングも機能も上手くいっているように見える。
この体(ハードウェア)に人工知能(AI)を搭載できたとしたら、本当にヒューマノイド型ロボットの完成である。ロボットだけのサッカーチームを作って「ロボカップ」も出来てしまうのである。ロボカップの目標年次は、2050年だそうだが、もっと早く来るのではないかと個人的には勝手に思っている。
これらのロボットが活躍する未来、世界は遠くはないのだろうが、SFや映画の中では実になめらかに当たり前に活躍している。ちょっとAIとは話題がそれるが、映画の中でのアンドロイド比較考をしてみたい。
『宇宙家族ロビンソン』(リメイク版ではない方のTVシリーズ)古くはこのフライデーか? マッドサイエンティストと美女、そしてロボットという古典的な組合せを地でいきそうなものだったが、アシモフ氏のロボット3大原則を積み込んだプロトタイプと言えなくもない。
『スターウォーズ』なんといっても一番派手だろう。C3PO、R2D2をはじめ様々な形のロボットが活躍している。用途に応じてその形態や機能が違うが、どれも人間並みのAIが積まれているようである。人間臭いのではあるが、やはり人間とは違う・・・つまり目的がプログラムされている機械という印象がある。
『スタートレック』では、どうだろうか? 改めて考えるとロボットは皆無と言えるほど居ない。近未来のテクノロジーの方向性が、全てこのスタートレックの世界を目指しているといっても過言ではないほどだが、ホロデッキ、フードプロセッサ、通信機、トリコーダ、転送装置、ホバー台車などなど、ヒット商品間違いなしである・・・が、しかしロボットは出てこない・・・データ少佐は、完璧なアンドロイドではあるが、いわゆる量産品ではなく、イレギュラーなもの、マッドサイエンティスト系というか再現性が無いものである・・・ロボットの居ない近未来。ST 七不思議のひとつである。(ボーグは、マン・マシーンの融合なので、ロボットではなくサイボーグの類になるので割愛します。)
『ターミネーター』は、学習できるAIだ、プログラムの枠からは出られないが、自律しているし、機械臭い(この前提として人間らしいと言えるのだが)?アンドロイドである。たぶん、これからのテクノロジーが目指したいのは、このようなタイプなのかもしれない。T2では、ラストシーンに3大原則の片鱗を見せてくれた。T3では、プログラムと自我の葛藤を起こしていたのが、面白い。スカイネットは、人間の知性を超えたのかも知れないが、残念ながらロボットではない。
『2001年宇宙への旅』でのHALも自我に目覚めたコンピュータ、AIに間違いない。この自我というものが良いものなのか、悪いものなのか、判別はできない。人間のように長い時間を掛けて個性を作り出すものではない突然変異だからだ。もちろん人間とて長い時間を掛けて出来上がった悪意もあるし、突然出来てしまった狂気というのもあるのだが、ロボットやコンピュータが作られた目的に照らし合わせると規格外のことなのであろう。AIを教育する学校なんてのが必要になってしまう・・・。
『AI』に出てくるアンドロイド達は、見た目からしてもう人間である。中には古いタイプもあるが、人間と全く見分けがつかない。SONYのAIBOのように? ペット的、愛玩的なロボットの用途は結構あるんだと思う。ロボット用途のひとつとして人間とのコミュニケーションという目的では、ロボットとしてではなく、音声だけだとしても早いうちから出てくるAIのタイプだと思う。ただ、映画の中では、そのロボットが自我に目覚めるというのは、ストーリーではある。
『ニューヨーク東8番街の奇跡』だったか? の愛すべきロボット達は、人間的な存在だが、誰が造ったかも分からないものであり、ひとつの知性体、種族といっても良いのかも知れない。もしかしてロボットじゃなくて宇宙人だったか?
『マトリックス』ではどうだろうか? ロボット自体は、殺戮マシーンとして登場するがそれだけである。AIとしてのマトリックスは、人間を超えたものとして存在はしている。マトリックス以前のものとしてオムニバス形式で語られた『アニマトリックス』では、人間が造り出したロボットが、初めて人間を殺してしまう事件、自我に目覚めて人間と対立していくロボット達が描かれている。どこか似たようなモチーフが過去にもあったような気がする。
と、だらだらと書き連ねてきたが、映画の中には、人間を超える知性としてのAIは出てくるが、人間の知性を超えたAIを積んだロボットというのは、存在しないようである。
ロボットとは、なんぞやということでは、人間が造り出したものということに尽きるのだが、素材がスチールとシリコンだろうが、タンパク質とカルシウムであろうが、クローンでない限りは、創造物である。人間の知性を超えるかどうかは、能力の問題であり、経験からくる個性は、時間が造るものだし、自我を持つかどうかは、そう設計したかどうかの問題? であり、設計していないのなら偶然か暴走かであって、進化といえるのかは、とても難しい・・・偶発にせよ進化にせよ、プログラムである以上、その心自体をコピーすることはできるのだろうか?
昔、MITの学生が簡単な推論を行えるコンピュータを造ったが、彼はそこにコンピュータの知性を見てしまったという、結果として彼は、スイッチを切ることが出来なくなったそうである。もし、人間が知性だけでなく、自我や心までも創造できるとしたら、それは、もう神の領域でしょうね・・・。
スタートレックのエンタープライズ号そのものが、広義のロボットに入ると思いますが。
「コンピュータ」と呼びかけると即座に応答してくれるというのは、HAL9000のお家芸だけではないぞと。
Posted by: へろそ : March 16, 2004 05:59 PMたしかにそうですね。近未来の多くの想定では、そのようなAIが出てきます。
たいていは、「マザー」とか呼んでます。
それにインターフェースとしては、やはり言葉が一番手っ取り早いですからね。
いつから機械がしゃべるようになると思ったんでしょうかね、人間は。